◎「角質層を超える」表現は薬機法違反
「細胞分裂が起きる肌の基底層にちょうど刺激を与える長さの針が細胞活性を促す」というコメントについて
まず正式なパンフレットには「角質層に超える」とは書かれておりません。
何か別の方が書いた個人的なサイトを御覧になってコメントされたのではないかと考えられます。
パンフレットには「スピキュールが肌に刺さると」や「スピキュールが肌に達すると」という表現はありますが、
「角質層を超えて」や「基底層に達して」とは書かれていません。
いろいろなサイトで販売するにあたり、表現が微妙に違ってきてしまったのかもしれませんね。よって誤解を招く表現で書かれている方はご訂正いただく方が誤解を招かないですね。
海綿由来のスピキュールは0.2mmほどの長さのシリカとカルシウム、マグネシウム等でできた小さな針ですが、
基底層までぐっさり刺さるなんてことは確率的にまず難しいです。
かなりかなりの偶然が重ならないと起こりえないですが、
確かにパンフレットにあるこの図がまずいですね、、、、誤解を確かに生みかねません。
(V3 exciting foundation パンフレットより引用)
本当はこの程度だと考えられます(青)、、、↓↓
あくまで、ホームケア用のダーマ―ローラ0.2mmと似たようなDDS(ドラックデリバリーシステム)を利用したいところなのです。ダーマローラーは
プラスチックの0.2mmほど針のついたローラで、肌にあてて、角質層に傷をつけて美容成分の浸透を高めるものです。そのダーマ―ローラ―のように直角に、力をかけて押し付けてしかも0.2m全部を刺す事などファンデーションに混ざっているスピキュールでは、手のひらで押し付けても0.2mmが全部刺さるなどということは出来かねます。
言ってみるならばスクラブかけた程度と思われます。
そして皮膚の表面の角質層のごく浅いところにこのスピキュールが刺さり、
それにコーティングされている美容成分の浸透を高めています。
角質層の表面から入るだけでは、皮膚には何段階にもわたる稠密なバリア機能があり、そう簡単には肌の奥に成分は浸透できません。
ですが、臍帯血幹細胞培養液にはサイトカイン、成長因子が含まれますので
直接的な浸透でなくても、細胞へ情報伝達をする「パラクリンシグナル」すなわち近距離細胞コミュニケーションというシステムを利用して
肌細胞を活性化させる目的です。治療で行うマイクロニードリング方法(治療ではもっと深く数mmまで針を刺しますが)と似ています。
美容成分そのものが、肌細胞の奥の奥まで到達える必要はなく、むしろ直接美容成分を届けるよりも、皮膚表面から美容成分によって、隣接する細胞から細胞に情報伝達していくことの方が痛んだ細胞の修復、アンチエイジング効果が高いということを利用しています。
したがってそもそもスピキュールが皮膚の奥まで刺さる必要はなく、
角質の皮膚の表面に刺さってくれることがいいのですね。
◎「メイクやスキンケアの成分が針伝いに肌の中へ入る危険性」というコメントについて
「イノスピキュールの刺さった状態が最大72時間続くということは、ファンデーションの他に私たちが顔に付けるものも針を伝って肌の中に入ってしまう可能性がある」と書かれていますが、
ダーマローラーのように穴があいている状態では、浸透性が高まる可能性がありますが、スピキュールに無数の穴が開いているとはいえ浸透する量はほとんどないか、あっても極量が、、と考えられますし、
そもそもファンデーションに入っているスピキュールの数は化粧品なのでかなり少量です。
ダーマローラを使用した際には、その後塗布する美容液は高品質で安全性の高いものをお使いくださいね。
◎「数十本の針」に果たして効果はあるのかというコメントについて
そもそもこれは「化粧品」ですので肌に変化を与えるものではありません。
その記事でもコメントされているように
ツヤ感とハリがあるように見える「ソフトフォーカス効果」
そう。これはファンデーションなので、そもそも塗ることで肌艶が良く見えるのであれば目的を達成していますね。
◎コーティングしているのは臍帯血細胞「培養」液。培養したものである上に成分量としてはおそらく果てしなく少ない。よって当然効果も期待できない。
「病院では臍帯血から抽出したものとしてプラセンタを使うことがある。培養液ではなく、臍帯血そのものを抽出しているプラセンタ」???
これは「とんでもコメント」です?
プラセンタや再生医療にあまり精通されていらっしゃらない先生ですといまだに??このような間違いを理解されているのか、、、と
驚きました、、、。
この部分に関しましては、プラセンタ治療を受けていらっしゃる多くの患者様に大きな誤解を生みますので、訂正いただきたいですね。
病院で注射している「プラセンタ」は「臍帯血」から抽出したものではなく、
「胎盤」から抽出した成分で、血液のみでなく、臓器成分を含みます。
そこにアミノ酸、タンパク、脂質、ビタミン、ミネラル、核酸などの生理活性成分が含まれており、さまざまな効果を期待できます。
また、プラセンタは細胞を培養していないため、ある程度の量を投与しませんと有効成分を有用な量まで得ることができません。したがって一回の注射の量が2ccとか4ccになってしまうわけですね。
培養液の場合にはその培養液に細胞から放出されたサイトカイン、成長因子等が直接含まれるため、またエクソソームも含有していますと
少ない量でプラセンタそのものよりも多くの有効成分を得ることができます。
したがってプラセンタの原液を顔に塗るよりは効果が期待できます。
そしてプラセンタの成分は分子量が大きいタンパク成分が多いため、お肌に浸透するのが難しい成分も多いですね。
◎ 私たちが持つべき美容リテラシーとは
とその記事では〆くくられていますが
加えて「私たちが持つべきメディアリテラシーとは」
「『〇〇使ってみました!』と投稿しているインフルエンサーの投稿されているものは「自分の個人的なお気に入りのような形でおすすめをする広告手法)だと思ったほうが良いということ。」 途中省略
「確実に言えるのは、『勉強している人の意見を聞くべき』ということですね。」
とありますがその通りだと思います。
インフルエンサーの方々の投稿は、あくまで個人の感想です。
それをみて判断するのは自身です。
インフルエンサー投稿に限らず、
このようなネット記事もふくめまして正しいとは限りませんので
それを自己で判断し、自分にとって必要な情報であるかを判断する能力が問われます。
情報に溢れている現代です。「とんでも商品」のみならず
「とんでも記事」もたくさん、、、。
間違った医療情報もたくさんあります。
そのような情報に流されず、
専門的なことは専門家に直接伺うのが良いですね。
美容医療においても、信頼のおけるホームドクターに
これはどうなのか??直接ご相談しているのがよろしいと思います。