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「掌蹠膿疱症」に生物学的製剤の初!適応追加 ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤「トレムフィア®」
先日は診療を少し早めに切り上げさせていただき、
乾癬の勉強会に参加させていただきました。
乾癬やアトピー性皮膚炎で有効性の高い
生物学的製剤のなかで 初の掌蹠膿疱症に対して「トレムフィア®」が昨年11月に適応追加となりました。
その実際の効果や適応症状について。
そして掌蹠膿疱症の治療の最新の情報について。
また聖路加病院での「乾癬」に対するトレムフィアをはじめとした
生物学的製剤の効果についても
皮膚科部長の新井達先生よりご講演いただきました。
掌蹠膿疱症は手のひらや足の裏に膿疱と呼ばれるブツブツができたり、硬い皮がぼろぼろとついたりはがれたりします。手足以外にもひ皮疹ができたり、関節症状を伴うことがあります。
まだまだ不明な点の多い疾患です。
こちらのサイトに詳しい情報が掲載されておりますのでご参考になさってください。
掌蹠膿疱症ネット>>>
掌蹠膿疱症は、以前は金属アレルギーとの関連がよく知られ、
金属アレルギー検査を行い、陽性の金属を含む歯科金属の換装を行うとよいとされていましたが、最近では病巣感染とくに歯性病巣による影響が半数以上とされており、より重要とされています。そのほか副鼻腔炎や扁桃腺炎が関与していることもあります。
すなわち歯周炎や根尖病巣といったばい菌の巣を退治することが大切で、
その歯性感染症のコントロールをすることにより、
6割ほどは改善するようです。
そして喫煙者が80%ほどをしめるこの疾患ですが、禁煙をすると
完治は難しくても、症状が改善することもあります。
掌蹠膿疱症の患者さんの汗管や表皮ではニコチン性アセチルコリン受容体の発現が健常人より強く、ニコチンの影響を受けやすい可能性が示唆されています。
また喫煙により末梢血のTH17細胞が増加することや、血中のIL-17価が上昇することが報告されています。
なかには皮膚症状のみでなく関節症状を伴います。
乾癬では手指、掌蹠膿疱症では胸肋関節の関節炎が多いですが、
ともに腰痛として現れることもあります。
他の原因の腰痛と鑑別が難しいですが、
「起床時に強い腰痛、長時間寝ると腰痛が悪化する、朝腰痛が強く動き出すと軽減する腰痛」は乾癬性関節炎を疑う腰痛とのことです。
乾癬と掌蹠膿疱症は、ともにリンパ球T細胞性免疫に基づく、
慢性炎症性皮膚疾患で、その中でも中心をなすIL-23がTh17細胞を増加・活性化し、IL-17の産生亢進により皮膚角化細胞の炎症性変化をきたします。
両者は類似・近接する疾患と考えられていましたが、
最近ではその違いも明らかとなってきています。
乾癬も掌蹠膿疱症においても、関節炎を伴うことがありますが、
関節部の骨が破壊性の変化をきたす乾癬に対して、
掌蹠膿疱症では骨増殖性病変すなわち骨が太くなります。
似て非なる疾患であることがわかってきました。
ともにIL-23がTh17細胞を活性化し、IL-17の産生亢進により皮膚角化細胞の炎症性変化をきたす疾患であるため、
乾癬においては従来のTNF-αを阻害するものの他に
IL-17を阻害するもの、IL-23を阻害する生物学的製剤などがあります。
このたびIL-23受容体への結合を阻害する「トレムフィア」が乾癬のみでなく
掌蹠膿疱症に適応が拡大されました。
ただし、原因、悪化因子の除去がまず大切です。
トレムフィアは関節症状を伴う場合や皮疹が著しい場合、既存の治療で無効な場合などに適用となります。
そのような方は、主治医にご相談ください。
カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 乾癬 更新日:2019年5月12日