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皮膚科や小児科にたまたま受診した子供でないと情報がいきわたらない現状なんです・・・アレルギー疾患の新たな知見をもっと臨床の場へ<その1> 

昔は正しいと考えられていたことも
違っていた・・・医学の分野においても結構あります。
それが是正されぬまま患者様も正しいと思い続けていたり(たまに医者も)、
新たに分かった最新の情報がきちんと皆様に届かない・・・
病院を受診してたまたま新しい情報について
知ることが多いかもしれませんが、
あわただしい診療のなかでは、
医師からもなかなか情報がもらえないことも多いかもしれません・・・。
そして医師自身も知識のアップデートがうまくいっておらず
正しいと考えられている最新の情報を患者様に提供できていない
こともあると思っています。
そしてとくに
ネットの情報にいたっては、医師が監修していたとしても
いい加減なものたくさんあります・・・。
監修といっても
医師がネットで検索して書いているものも多いと聞きます(笑)
この私のブログでは、できる限りエビデンス(根拠)の
ある情報で、日進月歩の医学情報の最先端を日々お伝え
できればと思います。
↑前置きが長くなったのは
あるDrのブログを朝みて「いい加減なことを公言するなぁーーー」
と思う記事があったので( `ー´)ノ
 
さてこんな雑誌があります。
「アレルギー疾患を診る医師のための情報誌」
Salud(サルー)
:「お大事に」とか「健康」を意味する
スペイン語だそうです。


 
この分野こそまさに皮膚科では
日進月歩。
どんどん昔と考えが変わってきており
医師も患者さまへの指導にも戸惑います。
というわけでこんな雑誌があるのですね。
その内容の一部をご紹介したいと思います。
国立成育医療研センター 生体防御系内科部アレルギー科 医長
大矢幸弘先生と
東京慈恵会医科大学付属 第三病院小児科 教授の
勝沼俊雄先生との
対談より。
<生後1~4ヵ月の湿疹・アトピー性皮膚炎の発症が食物アレルギーの大きなリスク>
かつては、食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因と
考えられていた時代がありました。
これ、いまだに修正されていないことが多く
血液検査で食物アレルギーがあるとそれだけで
アトピー性皮膚炎と診断されていたり、
患者様からも血液検査でアトピーかどうか診断してほしい
なんていう要望はいまだに多いです。
私たちも、かつては食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の
原因になると考えていたため、
母親の摂取した食事から胎盤を介した
感作(アレルギーの獲得)が
食物アレルギーに影響すると疑われおり、
妊娠中や授乳中に母親に卵の摂取を控えさせたりして
食物アレルギーの抗原除去を子供のアレルギー発症予防として
勧めていたこともありました。
2008年にLackにより提唱された「二重抗原暴露仮説」により
荒れた皮膚を介して食物抗原が侵入することで
食物アレルギーとなり、
口から入った食物はむしろ免疫寛容されるように
誘導される。すなわち正しいルートで口から入った
食べ物については異物、悪いものとして免疫が働かないように
体が覚えるという説です*1。
したがって、今では母親の食事制限は
子供のアレルギー発症の予防にはつながらないとされています*2。
現在は食物アレルギーの原因は経皮感作すなわち
湿疹などで壊れた皮膚から食物抗原が侵入することで
食物アレルギーが獲得されることが
多いというのが
一般的な考えとなっています。

*1 Lack G:J Allergy Clin Immunol.,122(5),984(2008)
*2Kramer mS et al:Cochrane Database Syst Rev.,9,CDooo133(2012)
よって
湿疹やアトピー性皮膚炎の存在が
食物アレルギー発症のリスクファクターになっていると
考えられています。
大矢医師の施設での出生コホート研究により、
生後6か月までに湿疹を発症した子供は
3歳時に食物アレルギーを高率で発症すること。
なかでも
湿疹の発症時期が早いほど食物アレルギーの発症率が高く、
生後1~4ヵ月で湿疹のある子どもは、湿疹のない子供に比べて
1歳時での食物アレルギー発症のオッズ比は19倍にも
上まわると
報告されています。
したがって新生児、乳児期の皮膚状態は
食物アレルギーに大きく影響します。
そこでさらに同施設での研究では、スキンケアがアトピー性皮膚炎の予防に
効果があることを発表しました。
遺伝的にアトピー性皮膚炎の発症のリスクの高い乳児を対象に
保湿ケアとした群としなかった群とで、
保湿ケアをした群では湿疹・アトピー性皮膚炎の発症率が
有意に低いことが明らかになりました。
以前に(2014年に)
このことについて詳しく書きましたのでこちらをどうぞ>>>
すなわち
「食物アレルギー」の発症を予防するには
「湿疹やアトピー性皮膚炎」を発症させないことが大切で、
そのためには乳児期から安全性の高い保湿剤で(アレルゲンの含まれない)
きちんと「スキンケア」をすることが
そられらの発症を予防することに非常に重要だということです。
特にお口の周りの湿疹は
母乳内の食物抗原や食物が付着することで
経皮感作される可能性がありますので
早くお薬で治すことが大切です。
 
次回のブログ<その2>では
<昔とは違う!今は食べておくことで食物アレルギーを予防できる>について
お話します。

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