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アトピー性皮膚炎の原因、治療の変遷(その5)痒みの調節 PDE4阻害薬内服及び軟膏のゆくえ
以前にアトピー性皮膚炎の痒みは複雑で
抗アレルギー剤では止まりにくいことについて
お話しました。
★「アトピー性皮膚炎においてかゆみ止めの飲み薬が奏功しにくい理由」
その1>>>
その2>>>
その3>>>
その4>>>
そのなかで、現在多くのかゆみ止めの飲み薬は
ヒスタミンというかゆみを引き起こす成分のみを
抑えるものが多く、現在かゆみの原因として
わかっている他のケミカルメディーエーターを
抑えられるものは少ないとお話いたしました。>>>
現在乾癬という皮膚疾患に適応症が拡大した
PDE4阻害剤「オテズラ錠(アプレミラスト)」は、
最近では痒みを伴うことの多くなった乾癬に
かなり有効性が高く、安全性も高いことが知られ、
当院におきましても多くの患者様に使用しております。
特に痒みを抑える効果にも即効性があります。
このオテズラ錠はアトピー性皮膚炎についても
効果と安全性が検証中です。
各種サイトカインなどの炎症性メディーエーターの産生を
調整するため、これまでの主にヒスタミンのみを抑制する
抗アレルギー剤よりも痒みを抑えてくれる可能性が
期待され、治験が進んでいました。
痒みに対する効果はいいものの
皮疹に対する効果が顕著に出ていないため
治験が継続されるかが微妙なところであると聞き
大学病院の教授とオテズラを製造販売する製薬会社に
継続していただけるよう直談判しました( ;∀;)・・・。
その後どうなっているのかわかりません・・・。
先日PDE4阻害剤の(内服薬ではなく)軟膏が
小児および成人のアトピー性皮膚炎に
使用期間は短期間ではありますが有用であったという報告がありました。
*Paller AS et al:Efficacy and safety of crisaborole ointment,a novel,nonsteroidal phosphodiesterase 4(PDE4)inhibitor for
the topical treatment of stopic dermatitis(AD)in children and adults,Journal of the American Academy of Dermatology.
2016 Sep;75;494-503.
米国のノースウェスタン大学にて、
アトピー性皮膚炎の小児と成人を対象に行った第3相試験
において、PDE4阻害剤のcrisaborole軟膏の有効性と安全性が確認されました。
軽症から中等度のアトピー性皮膚炎と診断された2歳以上の小児
および成人患者さんにcrisaborole軟膏または軟膏基剤のみの群で
1日2回28日間塗布し、その効果と安全性についてみてみます。
crisaborole軟膏群がアトピー性皮膚炎の皮疹の改善した割合が
高く、痒みの改善も早期より改善しています。
この軟膏塗布による有害事象も稀でした。
たった1ヵ月ほどの研究ですので、
それでも効果がはっきりと見られたことは素晴らしいですが、
安全性についてはもう少し長期見ていただかなければなりませんね。
ですが朗報ですね。
カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎 更新日:2017年9月22日