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アトピー性皮膚炎の原因、治療の変遷(その3)~皮膚バリア機能の要 フィラグリン~

< 皮膚バリア機能の要は 「フィラグリン」 >

* フィラグリンタンパクの代謝産物が皮膚の天然保湿因子(natural moisturizing factor:NMF)に需要な役割
アトピー性皮膚炎の病態の主体は
「バリア機能異常」です。
このバリア機能異常に重要な関連性が示されているのが
天然保湿因子(NMF)の低下です。
本来私たちの肌に備わっている保湿機能に必須の因子です。
このNMFの主成分は「フィラグリン」というタンパクから
分解産生されるアミノ酸から成り立っています。
 
* フィラグリンは保湿因子としてだけではなく、バリア機能としても重要な役割  
皮膚表面の表皮細胞同士を凝集させる線維間凝集物質
としても働き、これらが欠乏している状態では
角層細胞ははがれやすく、バリア機能は低下します。
このバリア機能が低下すると
皮膚の外側と内側との浸透性が上昇し、経皮水分喪失量(transepidermal water loss:TEWL)は上昇しすなわち皮膚は乾燥してしまいます。
 
* アトピー性皮膚炎ではこの「フィラグリンが減少」している場合がよく見られます
フィラグリンの減少の原因には
・ フィラグリンの遺伝子異常、発現低下
・ フィラグリンを分解してNMFにする酵素(ブレオマイシン水解酵素:BH)の活性低下(発現低下)
フィラグリンの発現低下はアトピー性皮膚炎に限らず乾癬や
皮膚リンパ腫などほかの疾患においてもみられることがあります。
最近ではフィラグリン遺伝子異常・発現低下のみならず
BHというフィラグリンを分解するための酵素の発現低下している場合もあることが分かりました。
このBHの低下は加齢した皮膚(60歳以降で有意に低下)や乾燥肌程度でも確認されています。
そして季節変動やアトピー性皮膚炎の症状のコントロール状態
によってもBH活性は変化します
(すなわちアトピー性皮膚炎のコントロール状態を良好にすることでBH活性は改善します→アトピー性皮膚炎の症状を整えると本来の保湿機能が戻り、バリア機能が改善していくのです
*Kim.B.E et al.:J.Invest.Dermatol.,131:1272-1279.2011.
*菅谷 誠:医学のあゆみ,256:35-40.2016
*日比野利彦:J.Soc.cosmet.Chem.Jpn..,47:216-220.2013
*森田久美子ら:2015年第64回日本アレルギー学会学術集会にて発表
 
* したがってスキンケアをしてアトピー性皮膚炎の症状を抑え、整えることは
BH活性を高め、NMFの産生を増加させ、バリア機能改善につながります。

正しい保湿ケア・保湿剤の選び方については
アトピー性皮膚炎の原因、治療の変遷(その4)へ

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