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小児の遅延型フードアレルギー検査も始めます~アトピー性皮膚炎の原因、治療の変遷(その1)~
成人においては慢性疲労、肥満、アレルギー体質
等の原因の一つになりうる腸内環境の精査として
遅延型フードアレルギー検査を当院では行っております。
当院では日本国内では比較的早い段階である
5年前よりこの検査を導入し、
様々な疾患、症状におけるデーターの集積を
行ってまいりました。
その中でアトピー性皮膚炎患者における腸内環境の異常、
リッキーガット症候群の保有率は高く、
腸内環境に問題がある場合が多いことが
わかってまいりました。
これまでは成人のみで検査を行ってまいりましたが、
小児における状態の把握のため、
3歳以上の小児においても遅延型フードアレルギー検査を
開始いたします。
検査には人手が必要なため予約制とさせていただきます。
腸内細菌は、母親の産道及びその周辺から
新生児の消化管に定着します。
よって腸内細菌叢の形成には
分娩様式にて大きく左右されます。
母親から腸内細菌を受け継ぐため
当院では、アレルギー体質の母親が妊娠した際には
出産前にプロバイオティクス、バイオラクトの摂取を勧めています。
このように形成された腸内細菌叢は、
その後の食事、薬剤、後天的に入ってきた微生物、
ストレスなどで変化し、1~3歳ころには成人型の
腸内細菌叢へ移行します。
よって、それまでの時期の小児への抗生剤の投与は
腸内細菌叢に大きく影響を生じますので
医原性のdysbiosisとならないように
私は慎重に行っております。
腸内細菌のうち、有用菌(善玉菌)が
腸のバリア機能を整えており、
腸内細菌叢の乱れ、dysbiosisは腸での炎症を引き起こし、
その免疫異常は全身へ波及し、
アレルギー症状、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、
喘息など原因、悪化させます。
アトピー患者と健常者の腸内細菌叢とを比較すると
乳酸菌が有意に低下しているなど、
腸内細菌叢に異常を認めているという報告は多数あります。
*1.Björkstén B et al.:The intestinal microflora
in allergic Estonian and Swedish 2-year-old children.
Clin Exp Allergy 29:342~346.1999
*2.Björkstén B et al.:Allergy development and
the intestinal microflora durring the first year of life.
J Allergy Clin Immunol 108:516~520.2001
*3.Kalliomäki M st al.:Distinct patterns of neonatal
gut microflora in infants in whom atopy was and was
not developng.J Allergy Clin Immunol 107:129~134.2001
*4.Watanabe S et al.:Difference in fecal microflora
between patients with atopic dermatitis and healthy
control subjects.J Allergy Clin Immunol 111:587~591.2003
*5.Penders J et al.:Gut microbiota composition and
development of atopic manifestations in infancy:
the KOALA Birth Cohort Study.Gut56:661~667.2007
*6.Suzuki S et al.:Differences in the composition of
intestinal Bifidobacterium species and the development
of allergic diseases in infants in rural Japan.Clin Exp Allergy 37:506~511.2007
書き切れませんのでこのくらいにします
この腸管でのバリア機能異常がありますと
遅延型フードアレルギーを引き起こしやすくなります。
当院では腸内フローラを調べる検査もしていますが、
詳細を見る検査は高額です。
本来は自分に保有している菌を
プロバイオティクスとして多く摂取することが
理想的であり、この検査を広く行いたいところ
ではありますが現実的にまだ難しいです。
遅延型フードアレルギー検査は、
腸で刺激になっている食べ物を
調べる目的のみではなく、
ある程度の腸環境、リッキーガット症候群の有無を
把握できます。
アトピー性皮膚炎の治療は、
生じている湿疹を速やかに治し、皮膚バリア機能を
改善することがとても重要ですが、
それは症状を抑えているだけにすぎません。
それ以外にも悪化因子を改善をしなければ
良い状態は保てません。
検査は自費となりますが、ご希望のある方は医師にご相談ください。
皮膚アレルギー疾患は腸内環境の影響>>>
遅延型フードアレルギー検査
¥28,000 (成人・小児ともに)
この検査に関係する診察料として別途初回診察料¥3,000
再診料¥2,000がかかります。(税別)
*この情報は2017年9月7日のものです。時間がたっている場合には最新の情報をクリニックスタッフへご確認ください。
カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎, 小児皮膚科 更新日:2017年9月7日