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乾癬の新しい治療薬「オテズラ錠」効果はゆっくり。でもしっかりとした効果。
乾癬の新しい治療薬アプレミラスト「オテズラ錠」。
当院でも使用開始しています。
日本よりも長く使用している米国より
カルフォルニア大学サンフランシスコ校 のJohn Koo(ジョン・クー)皮膚科教授が来日され、
その効果と安全性についてのご講演がありました。
乾癬はなる人には素因があるといわれていますが、
様々な要因をきっかけに発症します。
肘、膝、すね、頭皮、手など体のいろいろな場所に
真っ赤なカサカサした皮疹が現れます。
ある人はかゆい、ある人は頭皮だけ、爪だけという方もいて、とても症状は様々です。
見た目がとても派手な皮疹がでて、フケのような角質がポロポロ落ちるので、
日常生活にとても不快な影響が生じます。
メタボリックシンドロームとも関連する場合も多く、
食生活や生活習慣とも関係します。
そしてなかなか完治がしにくいです。
これまではまずは塗り薬の治療が一般的で、
まず最初に選択されますが、
皮疹の範囲が広く、塗り薬だけでは難しい場合には
免疫抑制剤の飲み薬や生物学的製剤を使用した
治療を行うことが多いです。
効果の発現が早く、とてもよく効きますが、
長期間使用することによる副作用の心配や
感染症、耐性(効かなくなること)、肝臓・腎機能障害
などが起きることがあり、治療を開始するには慎重になります。
そこで今回、乾癬の治療に対して新たな選択肢が増えました。
それがこの「オテズラ錠」です。
使用経験の長いジョン・クー先生によると
オテズラ錠においてはそのような有害事象はまれであり、
安全であるとのことでした。
そして昨日J Am Acad Dermatolオンライン版においても
米・Bakersfield Dermatology のJeffrey Crowly氏らにより
3年以上の長期の安全性について報告がありました。
その代わり、効果がはっきりと実感できるまでに
時間がかかります。
ジョン・クー先生によると
かゆみの効果は早く、2週間ほどでも実感できることが多いようですが、
皮疹は4か月、爪は6か月、頭皮は3か月かかる場合が多いとのことです。
ですが最終的な効果は、生物学的製剤に近いといえるほど
効果が高い場合が多いそうです。
そして関節症状を伴う場合にも有効性が高く、
また服用していることで関節炎への進行の予防にもなるといいます。
塗り薬や光線療法などのほかの治療を併用しながら
ゆっくりと、焦らず効果を待ちましょう。
重篤な副作用はほとんどありませんが、
服用開始の初期1か月のみ胃腸症状があります。
5人に1人くらいといいます。
悪心、下痢そして頭痛の出る方もあります。
ですが容量を減らしたり、それらを軽減させるほかの
お薬を併用すると、ほぼ全例それらの症状は
慣れてしまいます。
特別な副作用というよりは、お薬の作用機序そのものに
よるもので、胃腸にも同じようにお薬が作用することに
よる症状とのことで、心配いりません。
このように、医師からキチンと説明を受ければ
安心してご使用いただけますね。
ずっと塗り薬で頑張ってきた乾癬の方で
ご希望のあるかたは、皮膚科の先生にご相談ください。
講演会後にはいつもお世話になっている先生方とお話できました。
講演会では聞けなかったことも
オテズラを取り扱う製薬会社のセルジーンの方にもお伺いできました。
カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 乾癬 更新日:2017年5月23日