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アトピー性皮膚炎のかゆみ治療に朗報♡
アトピー性皮膚炎のかゆみの原因として
重要な作用をしているIL-31を抑制するお薬の
情報が入ってまいりました。
もう一度復習してみましょう。
以前よりアトピー性皮膚炎のかゆみは
非常に多彩な要因があり、既存の内服薬では
充分な効果を出しにくいことについて書いてまいりました。
★「アトピー性皮膚炎においてかゆみ止めの飲み薬が奏功しにくい理由」
その1>>>
その2>>>
その3>>>
その4>>>
そのなかで、現在多くのかゆみ止めの飲み薬は
ヒスタミンというかゆみを引き起こす成分のみを
抑えるものが多く、現在かゆみの原因として
わかっている他のケミカルメディーエーターを
抑えられるものは少ないとお話いたしました。>>>
近年そのアトピー性皮膚炎のかゆみに関係している
ケミカルメディエーターの一つとして
「インターロイキン31(IL-31)」
という物質が注目されています。
*1 Dillon SR et al:Interleukin 31,a cytokine produced
by activated T cells,induces dermatitis in mice.
Nat Immunol.5:752-760,2004
*2 Raap U et al:Correlation of IL-31 serum levels with
severity of atopic demtitis . J Allergy Clin Immunol,122:421-423.2008
そして免疫抑制剤がこのIL-31を抑制できることが
わかっていますが、副作用の問題から汎用はできないのが現状でした。
*3 Otsuka A et al:Effects of cyclosporine on pruritus and
serum IL-31 levels in patients with atopic dermatitis.
Eur J Dermatol.21:816-817,2011
先日、九州大学生体防御医科学研究所の福井宣規教授らの
研究グループは、近年アトピー性皮膚炎におけるかゆみの
惹起物質である「IL-31」の産生に、EPAS1という
タンパクが重要な役割をしていることについて発表しました。
このEPAS1を抑えることでIL-31の産生を抑制し、
アトピー性皮膚炎のかゆみを抑えることができるため
今後新たなかゆみの治療薬の開発が期待されていた
ところでしたが
このEPAS1を抑えるお薬とはまた別の
IL-31を抑えるお薬の第Ⅱ相試験において
有効性と安全性が確認されたとの朗報が
入ってまいりました。
*N Eng J Med 2017;376:826-835
かゆみに関係しているケミカルメディエーターの
需要な一つであるIL-31が結合して作用する受容体に
変わりにくっついて、IL-31の作用を抑制するものです。
nemolizumab
「抗インターロイキン(IL)-31受容体ヒト化モノクローナル抗体」と呼びます。
日本、米国、欧州において
成人の中等度から重症で
塗り薬だけでは十分にコントロールできない
アトピー性皮膚炎の患者さん264例を対象として試験が行われました。
4週間に1回皮下注射し、12週間経過をみています。
かゆみの改善効果は早く、投与後1週間から著明に
かゆみが減少しています。
そしてその試験後に、長期安全性・有効性をみる
試験においては、1年以上nemolizumabを継続投与
した結果、かゆみの改善の維持と、皮膚症状の持続的な
改善傾向が認められ、安全性上の重大な問題もありませんでした。
まだまだこのお薬が使用できるようになるには
時間がかかりますが、
改善しにくいアトピー性皮膚炎のかゆみ治療が
前進しています♡
早く楽になりますように♡
カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, アトピー性皮膚炎 更新日:2017年4月11日