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「東日本大震災の教訓:医師として皮膚科医としてできること、そして見えてきた課題」より
東日本大震災の際に、皮膚科医として医療支援に携われた
東北大学大学院 皮膚科 准教授 山崎 研志先生が
第75回日本皮膚科学会東部支部学術大会でご発表され、
その内容をまとめた「東日本大震災の教訓:
医師として皮膚科医としてできること、そして見えてきた課題」
から今回の震災の対策の一考となりますよう
ご紹介いたします。
災害時には、一般外科や内科の一般医療の提供が
優先され、
また患者自身も皮膚のトラブルの相談を遠慮していたそうです。
またアトピー性皮皮膚炎や尋常性乾癬など以前から
皮膚科に通院し、特に皮膚科医療を適切に受けていた患者
さんほど、皮膚科医以外の医師には相談しない傾向があったそうです。
確かにこれらの慢性疾患は、ステロイドの種類や強さ、
保湿剤の種類など使い慣れたものでないと心配になる方が
多いと思います。
皮膚科専門医の診療が受けられたことと、
以前から使用していた外用薬を手に入れられたときには
とても喜ばれたそうです。
災害地で診療した皮膚疾患の内訳は、
( 図.マルホ皮膚科セミナーより抜粋)
最も多かったのは湿疹・皮膚炎で半数を超えており、
ついで感染症、そして物理・化学的障害だったそうです。
既存の皮膚疾患や化膿、やけどや小さな怪我のようですね。
皮膚科専門医が訪問できたのは、かなり後のよう
ですので、持病のある方は、他科の医師にもいつものお薬
を処方していただけるように、
常用している薬の把握をしておくことが大切です。
最近はジェネリックが処方されていることが多く、
名前のみ分かっても、専門でない医師は処方に戸惑います。
お薬手帳がありますと良いですね。
このような急性期の皮膚も問題の他、
被災期間が長くなってきたことによる新たな問題が出てきます。
食料が充分手に入らず、低栄養状態になります。
そして入院でなく在宅医療の場合には、支援が行き届かず
寝たきりの患者さんの栄養管理や体位変換が不十分で
あったために、褥瘡(床ずれ)の発生や悪化が一番問題になったようです。
早期にこのような予防を講じることで、
褥瘡悪化による入院を減少させることができたようです。
同じ問題が生じる可能性が今回も充分考えられます。
内科や外科の医師の派遣が優先されるとは思いますが
皮膚科にかぎらず、他科の専門医の診療は必ず必要になります。
私もみなさんの診療に影響のなるべくない範囲で
精一杯協力したいと考えております。
その際はご理解をよろしくお願いいたします。
カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★ 更新日:2016年4月20日