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腸内フローラを悪くするお薬は抗生物質だけではありません~胃酸分泌抑制剤も注意!~
痛み止めのお薬(NSAIDs)による胃腸障害の副作用を
軽減させるために、ヒスタミンH2受容体拮抗薬
(H2ブロッカー)よりも強力な胃酸分泌抑制作用を有する
PPI(プロトンポンプ阻害剤)を使用することがあります
が、小腸粘膜障害をかえって増悪するという報告*1 ,*2
に加えて腸内細菌叢のバランス失調(dysbiosis)を
もたらすことがわかってきています*3。
このことはH2ブロッカーにおいても同様である可能性が
あります。
*1Wallace JL.et al:Proton pump inhibitors exacerbate
NSAIDs-induced small intestinal injury by inducing dysbiosis.
Gastroenterology.2011.Oct.141(4).1314-22
*2Shunji Fujimori et al.Proton-pump inhibitor increase small intestinal
Inflammation.日医大医会誌 2014.10(2)38-39
*3Compare D, et al : Effects of long-term PPI treatment on producing
bowel symptoms and SIBO. Eur J Clin Invest, 41 (4), 380-386 (2011)
私たちは口から菌を摂取してしまいますが、
胃酸による殺菌作用によりそれらの菌から守られています。
それがPPIやH2ブロッカーなどで胃酸分泌を抑制してしま
うと、通常酸に弱く、死んでしまって腸に達するはずの
ないサルモネラやキャンピロバクターなどが腸でみられる
など小腸で異常な細菌増殖(Small Intestine Bacterial
Overgrowth:SIBO)をきたすと報告されています。
それによる過敏性腸症候群様症状が増加するとも言われています*3。
一度処方をうけると、不必要にだらだらと医者も
みなさんも続けてしまいがちなお薬の一つです。
症状が改善したら薬の変更や、中止するのがよろしいですね。
またこのように、腸内細菌叢においてグラム陰性桿菌や
嫌気性菌の異常増殖、および小腸粘膜障害には、
炎症性腸疾患の場合と同様プロバイオティクスが有効
である可能性も示唆されています。
腸内細菌叢を整えることで、薬に対する副作用も軽減でき
るということが確立されることが今後期待できそうです。
カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 美容・アンチエイジング 更新日:2015年12月21日