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11月24日から処方開始となる男性の脱毛症の治療薬「ザガーロ®」は本当にフィナステリドよりも有効なのか
11月24日より、男性の方の脱毛症の治療薬として
これまでのフィナステリド(プロペシア®など)に加えて
デュタステリド(ザガーロ®)が処方開始となります。
これまでのフィナステリドとはどこが違うのか。
男性の方の薄毛の主な原因はDHTというホルモンによる影響です。
フィナステリドもデュタステリド(ザガーロ®)も
このDHTの産生量を減らすお薬です。
DHTを産生するための酵素には5α還元酵素1型と2型の
2種類があります。
フィナステリドは、毛ともっとも関連のある2型のみを
ブロックします。
ザガーロは2型に加えて1型もブロックします。
その点でフィナステリドよりも有効性が高いことが
期待されています。
頭頂部の直系2.54cm円内における毛の数をみたところ
24週時(6か月)における毛髪数の変化量は、
ザガーロ0.5mg群でそれぞれ89.6本増加、
フィナステリド1mg群で56.5本増加、
プラセボ群で-4.9本であったそうです。
*Gubelin hW,et al:J Acad Dermatol 70,489-498(2014)
デュタステリドの方が効果が高い?・・・
私は10年間AGAをフィナステリドにて治療しており、
月に100人以上の方に処方している実績があります。
全国でも上位3%に入るトップの処方数です。
その経験からしますと、6か月で効果を実感できる方は
半数ほどですが、
1年以上みてみると、確実に発毛が実感できる方が
90%以上といえます。
フィナステリド単独もしくはミノキシジルの塗り薬の併用
で、現状の維持、進行を止めるのみでなく確実な増毛が
得られる場合が90%以上、
そして当院では充分満足な発毛を実感できている方が
大半であると考えています。
ただし、画像、マイクロスコープで評価をしませんと、
自分では日々の変化には気が付きにくく、
効いていないと思ってしまい、効果がはっきりする前に
辞めてしまう方が多いときいています。
フィナステリドで30~50%で改善が示されなかった
との報告もありますが、上記のような効果の医師の評価
方法や説明に問題があることによると考えています。
したがって先ほどの報告は6か月というAGAの治療
としては評価するには非常に短期間における治療効果の
評価であるといえます。
DHTの血中濃度の減少は、ザガーロの方がフィナステリド
よりもかなり低く抑えることができる結果を、
製造販売元のグラクソ・スミスクラインさんから
資料を見せていただきましたので、
6か月という短期間においては、効果が早いことは納得できます。
ただし、5年10年と長期で見た場合に、
この2つの薬の効果に差が大きく生じるのか、
またフィナステリドでも満足できる十分な効果が得られる
のに、そんなにDHTを下げる必要があるのか。
事実DHTを減らすことによるフィードバック効果での
テストステロンホルモンの上昇はザガーロの方が影響を
うけて高くなっていました。
体には無駄なホルモンは一つもありませんので、
ホルモンバランスが崩れないよう
効果の期待できる最低限の操作にしたいというのが私の
考えです。
したがって当面は、治療開始時で早く効果をだしたい
場合、フィナステリドで十分な効果は得られているが
もう少し治療効果を高めたいというご希望がある場合に
のみお勧めしようと考えています。
でも、フィナステリドからデュタステリド(ザガーロ®)
に切り替えた場合、効果は上がるのか。
それをみた論文があります。
*Jae Yoon Jung et al:Effect of dutasteride 0.5mg/d
in men with androgenetic alopecia recalcitrant
to finasteride,international Journal of Dermatology
2014,53,1351-1357
フィナステリドの6か月の服用で、改善がなかったAGAの
男性35人を対象に、デュタステリドへ切り替えて
6か月投与したというものです。
結果、脱落せず治療を継続できた31人中24例(77.4%)
において、写真で改善、7例では有意な変化がなかったとのことです。
前述しましたように半年では効果が実感できない人が半数
です。そして1年くらいでは確実に発毛が実感できる人が
多いという私の考えからしますと、
ちょうど効果が表れやすい6か月以降から
デュタステリドに変えていて、フィナステリドで無効例
でもデュタステリドなら効果が上がる、
と言うのはどうも納得しがたい結果です。
使用開始初期はデュタステリドの方が
効き目が早い可能性はありますが、5年以上の長期に及ぶ
とあまり2つの差はなくなるのではないか、
それならば必要以上にDHTを下げすぎない方がいい
のではないかとも考えています。
これを機会に、
当院でのフィナステリドによる10年間の治療効果の集計
をし、また今後のデュタステリドの治療効果の評価を
慎重に見ていきたいと思います。
カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, 美容・アンチエイジング 更新日:2015年11月12日