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難治性の「酒さ」にメトロニダゾールゲル外用療法の有用性の報告が日本でもありました。当院では自費で処方いたしております。
おそらく皮膚科医が日常診療で治療に頭を抱える
難治性の皮膚疾患の一つが「酒さ」ではないかと思います。
ご提示できる臨床写真がありませんので
みなさまにはあまりなじみがなく、どんな皮膚疾患か
わかりにくいかもしれませんね。
「酒さ(しゅさ)」とは原因不明もしくは多彩な原因
によって生じ、慢性的に顏の赤みやニキビ様のぶつぶつを
伴うことの多い主に顏の皮膚疾患です。
原因がさまざまであるうえに、基礎疾患の有無の違い、
体質的な素因を伴う場合のある病気である
ことなどから、治療法が確定しておらず難治性です。
さらには諸外国では有用性が確立しているにもかかわらず
日本では使用できない薬が多く、
今現在使用できるお薬の中で、
漢方薬なども併用しながら駆使して行い、治療に難渋して
いるが現状です。
ざ瘡治療に次いで、日本で治療の遅れている皮膚疾患の分野とも言えます。
今回日本でも報告のあったメトロニダゾール軟膏の
酒さへの有効性は、1983年にすでに海外では報告があり、
現在FDA(米国の厚労省にあたる機関)においては
酒さの治療薬の第一選択薬となっています。
今回日本において2015年5月11日に処方可能となった
0.75%メトロニダゾールゲル(ロゼックス®)は、
今現在は「がん性皮膚科医用部位の殺菌、臭気の軽減」
に対してのみ厚労省より製造販売の承認がおりています。
酒さに対してはまだ保険適用ではありません。
今回のような酒さへの有効性と安全性の報告が
積み重なり、早く酒さへの適応症が拡大されることを期待いたします。
当院では現在自費で0.75%メトロニダゾールゲルを
10g¥1,620で使用しております。
「酒さ35症例に対する1%メトロニダゾール外用の有効性
の検討」
菅 裕司 ほか 札幌医科大学医学部皮膚科学教室からの報告です。
日皮会誌:125(3),419-426.2015
海外での1%メトロニダゾール軟膏の有効率は50~65%と
されています。
メトロニダゾールは嫌気性菌や原虫、ニキビダニを減らす効果があります。
酒さのすべてがニキビダニが原因ではありませんが、
抗菌作用以外にも、抗炎症作用、免疫抑制作用、活性酸素
減少作用など他の作用も重なって酒さに有効であるといわれています。
今回84名の酒さの症例に1%メトロニダゾール軟膏の効果をみています。
1%メトロニダゾール軟膏外用のみで治療した
「単独群」と
抗生物質(テトラサイクリン系)との併用にて治療した
「併用群」とで
治療効果を解析したところ、
1度では「単独群」の奏効率は83.3%(著効5、有効10、不変3、悪化例0)
「併用群」では85.7%(著効4、有効2、不変1、悪化例0)
2度では「単独群」の奏効率は50%(著効2、有効0、不変2、悪化例0)
「併用群」では83.3%(著効3、有効2、不変1、悪化例0)
という結果でした。
*
1度(紅斑性酒さ)顏の赤みと毛細血管の拡張
2度(酒嗄性ざ瘡)1度の症状の増強と、ざ瘡様の丘疹、
膿疱(膿をもった丘疹)がある場合
3度(鼻瘤)鼻が腫瘤状の盛り上がった状状態
4度(酒性角膜炎)目の症状を伴うもの
効果が表れるまでの期間は平均1.5か月。
特に丘疹膿疱に対しても効果が良かったそうです。
逆に毛細血管拡張、乾燥症状には無効であったそうです。
副作用は乾燥症状や、刺激感が6例、発赤が4例あったようですが
いずれも軽く認容性は高いと判断されています。
抗生剤の併用の効果が良いですが、
メトロニダゾール軟膏を併用することで、
抗生剤の使用を減量できたり、
中止できる症例が41.2%もあります。
腸内細菌叢を悪くしないため、そして長期使用による
耐性菌を生じさせないためにも併用したいものですね。
当院では現在自費で10g¥1,500(税別)で使用しております。
ご使用になられたい方は、まずは診察にて
適応があるかを確認させていただいてから
処方いたします。
その他プラセンタ軟膏について>>>
カテゴリー:★ 院長ブログ・医療情報 ★, その他, 酒さ 更新日:2015年10月19日